破壊された野田市西三ヶ尾における在来植物自生地
破壊前の姿
野田市 三ヶ尾にて
2012
年
10
月
26
日午後
4
時半
ヤマラッキョウ
Allium Thunbergii G.Don
の花
破壊された野田市西三ヶ尾における在来植物自生地
(
2014
年
5
月
11
日夕刻)
野田市西三ヶ尾に奇跡的に残されていた、野田市南部(南部地区および福田地区)における
最良の在来草原植物自生地
の大部分が破壊されたことを、平成二十六年五月十一日に現地を訪れ、それを目の当たりにして、初めて知った。
重機によって表土が剥ぎ取られ、あの豊かな植物相は既に跡かたも無くなっていた。土塊の間に、枯れかけたワレモコウの株が無惨な姿を晒していたのを除いて。
そこに生えていた、可憐で清楚な、または、味わいのある花々を含む多種多様の植物は、フデリンドウも、ナルコユリも、
ママコナも、ウツボグサも、ヒヨドリバナも、オミナエシも、ツリガネニンジンも、アキノタムラソウも、
ヤマラッキョウも、みな、根こそぎ失われてしまった。
状況から推測するに、重機でならされた跡には、おそらく太陽光発電施設が建設されるのであろう。
尤も、その周囲四方のうち二方には、在来植物が生えている篠地が、まだ若干残されている。せめて其処だけでも破壊を免れるよう祈るばかりである。
2014
年
5
月
17
日午後
5
時過 野田市 西三ヶ尾にて。
キャタピラの轍の跡に残されたツリガネニンジンを発見したが、翌週は跡形もなく消えていた。
残された未破壊の一角にて
(
2014
年
5
月
17
日午後
5
時頃 野田市 西三ヶ尾)
ギンラン(銀蘭)
Cephalanthera erecta Bl.
ガマズミ
Viburnum dilatatum Thunb.
二人静
Chloranthus serratus Roem. et Schult.
釣鐘人参
歟
ママコナ
(野田市 西三ヶ尾)
(
2014
年
6
月
28
日
16
時半前)
2014
年
7
月
12
日夕刻
千葉県野田市西三ヶ尾にて
ノコギリクワガタ コクワガタ
カブトムシとカナブン
野田市西三ヶ尾における在来草原植物自生地が、ほぼ完全に消滅
(
2014
年
10
月
8
日)── 鎮魂 ──
2014
年
10
月
8
日夕刻、一箇月ぶりに
野田市西三ヶ尾の在来草原植物自生地
を訪れた。
わずかに破壊を免れていた、植生が豊かな西側の篠地が、消滅していた。いずれ其の日が来ることは予想していたのであるが、暗澹たる思いに うち沈まずには いられなかった。
東側の道路に面して、「小規模林地開発行為届出済標識」なる表示板が掲げられている。案の定、「太陽光等の発電施設」のための「工場・事業場の設置」目的の「開発」であるとの由。
幸い、北側の篠地は、開発の対象から外れて そのまま残されるようである。但し、其処の植物相は、破壊された場所と比べると甚だ貧しい。秋の花は、せいぜいツリガネニンジンと萩が確認できる程度である。
尤も、藪の中に、一部の在来草原植物の種子や球根、地下茎等が保存されている可能性は有ると思われる。
以前、其処から程近き場所において、おそらく煙草の不始末によってであろう、一定の広さの篠地が焼けたことがあった。春、その焼跡に、ニオイタチツボスミレやジュウニヒトエが花開いた。そして、二年後には、もとの篠地に戻った。
しかし、表土を削り取る重機によって破壊された自然環境は、二度と元には戻らない。“歴史”と同様、不可逆である。
このたびの「開発」では、植物もろとも、昆虫など夥しい生き物たちも生命を断たれた。鎮魂の意を込め、深く哀悼する次第である。
(
2014
年
10
月
8
日 皆既月食の夜に記す
)
2014年5月17日
2014年6月28日
2014
年
5
月
17
日
2014
年
10
月
12
日(日曜日)、破壊された西三ヶ尾の在来草原植物自生地に行ってみた。まだ表土が削り取られていない場所が、わずかばかりあった。
そこには、二種類のヒヨドリバナと、ワレモコウ、その他の花々が見られた。しかし、もはや‘風前の灯火’。消滅は時間の問題である。重ね重ね残念なことである。
(
2014
年
10
月
13
日記
)
2014年10月12日
2014年10月12日
2014年10月12日
2014年10月12日
失われた、野田市西三ヶ尾の在来草原植物自生地
(
2015
年
3
月
28
日
17
時頃)
野田市西三ヶ尾の、失われた在来草原植物自生地
(
2015
年
5
月
10
日
17
時頃)
かつての在来草原植物自生地は、太陽光
発電施設へと姿を変えつつありました。
野田市西三ヶ尾の消滅した在来草原植物自生地
(
2015
年
6
月
28
日夕刻)
↑太陽光発電施設は既に稼働しておりました。
← 昨年の夏に
カブトムシ等が樹液を吸っていたクヌギの木
は、ありがたいことに、発電施設の傍らに残っておりました。まだ六月でしたが、コクワガタが、雄二匹、雌一匹、潜んでいました。(勿論、観賞したのみ)
隣接するヤマ(林)の中には、キノコが生えておりました。→
↓
なお、
ママコナとウツボグサの姿は、とうとう目にすることが叶いませんでした。尤も、自宅敷地内のウツボグサは、ささやかではありますが、もっか花盛りです。株も、かなり増えてきました。帰るべき"故郷"は既にない"根無し草"となってしまいましたが、地元の"種"は絶やしたくないものであります。
野田市西三ヶ尾の失われた在来草原植物自生地の
北側に隣接する篠地にて
(
2017.5.6
)
スミレとフジ
フデリンドウとギンラン
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