2023年12月22日に新潮社へ送った抗議電子メール
 
 本日、『週刊新潮』第六十八巻第四十九号通巻三四一三号(12月28日号, 2023.12.21)が届きました。いつもありがとうございます。
 しかし、当該号所載の134頁、高山正之「変見自在1066 売人はだれだ」を読んで、週刊誌を叩きつけたくなるほどに激怒しました(もちろん叩きつけてはおりませんが)。文章を読んでここまで激怒したのは、ひさしぶりです。
 満洲帝国における阿片製造および阿片販売に関する学術書および史料集を、著者、高山正之氏が一度たりとも読んだことがあるとは到底、思えません(もし読んでいるのであれば、学術的な日本語を理解できないということに他なりません)。学問の蓄積を無視した、文字通りの暴論で、学術を冒涜するものに他なりません。満洲国における阿片事業は、日本にとりましては暗黒の過去で、「日本に誇りを」と考える向きには触れたくない歴史的事実ですが、それを「嘘」と呼ばわりするとは、本当に怒りが止まりません。言論の自由とはいえ、これは許容の一線を完全に越えております。本当に怒りが止みません。
 このような虚言が日本の国際的評価を著しく低めることを、そもそも著者、高山正之氏は理解できているのでしょうか。私のように内モンゴルという特に微妙な地域(満洲帝国下でアヘン栽培が行われた地域を含んでおります)に関わっている者にとりまして、このような無責任な言説が横行することが、どれほどの危険を招く可能性があるか(今は私は日本国内にいるので心配はありませんが)、想像したことがあるのでしょうか。
 また、このような虚言が、公器たる『週刊新潮』に堂々と載るとは、校閲がきちんと機能しているのでしょうか。誌面において、134頁第五段第四・五段落の記載を取り消す訂正を出すことを強く要求します。また、編輯担当者の判断に任せますが、文脈からは「学者の小林元裕」氏が「嘘」を述べていると普通には理解されますので、小林元裕氏に対する陳謝も行なわれてしかるべきであると私は考えます。
 本メール全文を、134頁に関係する編集担当者・責任者に転送してくださりますよう、お願い申し上げます。
 
 この抗議メールは、当該連載の担当者に転送されたとの由ですが、私の要求は受け入れられませんでした。残念なことです。
(2025.8.20.記)



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