早稲田大学図書館所蔵平田本『諸家近代系図』公開
独自の情報を豊富に含む江戸初期の公家系図、平田職俊編『諸家近代系図』の早稲田大学所蔵少外記平田家旧蔵本の第一冊と第三冊が、このたび公開されました。
・第一冊(目録、親王、執柄、清華の三条・西園寺・徳大寺・今出川)
https://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/i04/i04_02478/i04_02478_0186/
PDF(20.3MB):
https://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/i04/i04_02478/i04_02478_0186/i04_02478_0186.pdf
・第三冊(持明院〜藤波、奧書)
https://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/i04/i04_02478/i04_02478_0182/
PDF(40.3MB):
https://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/i04/i04_02478/i04_02478_0182/i04_02478_0182.pdf
※『竹園摂籙』という題名で登録されております。
なお、第二冊はごく一部が断片で残存しておりますが、このたびの公開対象とはなっておりません。
本史料につきましては、「十六世紀史研究学会」第19回研究会(2017年12月24日)「少外記平田家で作成された近世堂上公家系図『諸家近代系図』の三写本について」において概要を紹介し( https://historyandculture.jimdofree.com/十六世紀史研究学会/ )、その内容は、『姓氏と家系』第三十一号(会誌通巻第百十九号)(日本家系図学会、2024年6月刊行予定)所載「平田職俊『諸家近代系図』について 江戸前期堂上公家に関する基礎史料」にて公表予定です(現在、再校中)。
本史料は二次史料たる系図編纂物ですが、朝廷の実務にあたった少外記平田家出身の平田職俊が編纂し、今回公開された平田本は、職俊の子 職永が作成した増補改訂版であり、その記載には一定の史料性が認められます(いくばくかの誤りも散見されますが)。そこには、江戸前期における堂上公家各家の成員、特に次男以下や女性に関する、従来知られていなかった基礎情報が多数、含まれており、公家社会における婚姻や身分移動の実態の一端を具体的に把握することができ、また、堂上公家の族的結合の様態や、公家各家の沿革等を検討する際にも活用できます。
本史料、『諸家近代系図』三写本の翻刻(系線・構図をも完全に再現した電子データ)は既に完成しており、現在、刊行に向けて準備中です。しかし、系図ですので版下作成が容易ではなく、出版助成金がなければ到底、刊行はおぼつかないです。そもそも、本史料の筆写および翻刻にともなう諸々の作業は、2011年3月から少しずつ進めており、以来、十三年以上の歳月を費やしております(内モンゴル滞在中の中断はありますが)。刊行が実現するよう、強く祈念する次第です。
(2024年4月1日記)
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