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等
「梅若塚」(春日部市新方袋の満蔵寺)
桜が満開の
2022
年
4
月
2
日、例の如く古自転車にまたがって春日部方面を巡り、春日部市 新方袋の満蔵寺の傍らにある「梅若塚」に立ち寄りました。
「梅若塚」は、申すまでもなく能「隅田川」所縁の史跡です。東京都墨田区のほかに、なぜ春日部にも「梅若塚」があるのか ―― と思われる向きもあるかも知れませんが、おそらく春日部市民ならば周知のとおり、東武鉄道春日部駅から北方の地点において、古利根川と古隅田川が合流しております。
↑古利根川(右)と古隅田川(左)の合流点
↓古隅田川
古隅田川の南岸、県立春日部高校の北東に位置する
春日部八幡神社
には「
都鳥の碑
」があり、古隅田川の上流にあたる旧古隅田川には、豊春小学校の傍らに「業平橋」も架かっております。
古隅田川と旧古隅田川の沿岸は宅地化が進んでおりますが、川筋には古い堤防も部分的に残っており、その一部は「古隅田公園」として保全されております。
それはさておき、「梅若丸」の父とされる「吉田少将惟房」なる人物は、円融天皇の御代に実在していたとは到底、考え難く、「梅若塚」は、史実とは認めがたい中世の伝説が具象化されたものと考えるべきなのしょう。
しかし、「梅若丸」伝説には、それが成立した時代の諸相が反映されていることは言うまでもなく、現実に存在したと思われる悲惨な最期を遂げた人身売買の被害者となった少年たちの運命に対する中世の人々の共感が、貴種流離譚と結びついたものなのでしょう。
中世における「吉田」を称号とした公家としては、吉田定房が有名ですが、定房の両子息、宗房と守房は南朝に仕えております。吉田家が属する勧修寺流藤原氏は、弁官を歴任する「名家」の家格ですが、吉田宗房は、少将、中将と近衛将を歴任しております。「梅若丸」の父とされる「吉田少将惟房」なる架空人物は、あるいは、吉田定房の後裔に仮託されて創作されたのかも知れません。
ちなみに、「吉田神道」で有名な吉田家は卜部氏で、
堂上公家となったのは徳川家康がよりも後
のことで、当然、「梅若丸」伝説とは無関係です。
梅若丸の命日とされる旧暦三月十五日には法要も行われ、宝生流(シテ方)で謡曲「隅田川」が謡われるとの由です。「梅若塚」の傍らには、宝生九郎師、今井泰男師と宝生流(シテ方)関係の石碑もあります。
能(謡曲)「隅田川」には、聴かせどころとして、ワキ(船頭)の語りがあります。語り始めは他人事としてアッサリと、しかし、語っているうちに知らず知らず情感が強まっていき、語りの最後には、つい感情が籠り過ぎたことに気付いてハッと我に帰る、という語りが個人的には好きですが、実は私は「隅田川」を師匠から直接習ったことがありませんので、このような理解で正しいものか、自信はありません。
満蔵寺は、埼玉県指定天然記念物「御葉附銀杏」でも有名です。私が訪れた時には、まだイチョウは芽吹いておらず、また、寺の門は閉ざされており、やや遠くから眺めるよりほかありませんでした。
満蔵寺には駐車場があります。
鉄道を利用する場合は、東武野田線の八木崎駅が最寄りですが、
1km
あまりの距離があります。寺の東側には古隅田川の旧河道があり、北東方向(工業団地側)からは寺へ入ることができません。八木崎駅から大宮方面へ線路に沿って南西に歩き、「新方袋」交差点で国道16号線を横断して道なりに西さらに北西へと進みますと、満蔵寺の参道に到ります。天候が良ければ、さらに慈恩寺まで足を延ばしても良いでしょう。
(
2022.6.13.
記)
(写真はすべて
2022
年
4
月
2
日撮影)
●
赤坂恒明 監訳/金山あゆみ 訳注『
ラシード=アッディーン『集史』「モンゴル史」部族篇訳注
』(風間書房
, 2022.4.
https://www.kazamashobo.co.jp/products/detail.php?product_id=2446
)が、現在、発売中です。気合を入れれば大学生でも購入できる価格に設定されております。風間書房の意気に応じていただければ幸いです。
(
2022.5.1
)
●
赤坂恒明 監訳/金山あゆみ 訳注『
ラシード=アッディーン『集史』「モンゴル史」部族篇訳注
』(風間書房
, 2022.4.
https://www.kazamashobo.co.jp/products/detail.php?product_id=2446
)は、週明けから逐次、出荷されます。少しでも多くの読者の手に渡り、研究の裾野が広がるように、との期待を込めて、可能な限りの経費節減に努め、
420
頁にして価格は税込み
3000
円台に抑えております。なお、
780g
ありますので、片手に取って頁を繰るには、いささか重量があります。携帯して手軽に記載内容を知りたい方には、本書とは別に群雄堂刊行の旧版四冊本(
序文、索引、固有名詞のキリル文字表記なし、訳注もやや簡略
)もあります(
https://sites.google.com/view/gunyu/
)。共に御購入され、適宜、使い分けされれば良いのでは、と愚考いたします。
(
2022.4.17
)
●
近刊の、赤坂恒明 監訳/金山あゆみ 訳注『
ラシード=アッディーン『集史』「モンゴル史」部族篇訳注
』(風間書房
, 2022.4.
https://www.kazamashobo.co.jp/products/detail.php?product_id=2446
)は、すでに印刷が完了し、現在、製本中です。本書を風間書房に直接ご予約の先着八名様には、特典?として
拙
旧稿の抜刷を進呈いたします。記念品として御笑納いただければ幸いです。
(
2022.4.09
)
●
マリウポリの固有先住民族クリミア・ギリシア人(マリウポリ・ギリシア人、アゾフ・ギリシア人)につきましては拙HPにも
小文
を書いております(
http://akasakatsuneaki.c.ooco.jp/s/mariupol-urum-rumey.html
)が、頑強に抵抗を続けて来たマリウポリ市がロシア侵略軍によって今日、明日にも制圧されてしまうことは避けられそうにありません。この戦禍の中で、クリミア・ギリシア人の民族社会は既に壊滅し、彼らの一部が話す二つの固有言語、テュルク系ウルム語と、ギリシア語の方言ルメイ語の話者の社会的基盤も失われてしまったようです。
この
21
世紀に、「クリミア汗国」との所縁が深い一つの固有民族の社会が物理的に抹殺されていくのを同時進行形で目の当たりにするとは、想像できませんでした。
四月にはプーチンは失脚しているものと、開戦直後には(確たる根拠なしに)憶測していたのですが、期待は外れました。一刻も早く“
X day
”が来て、ロシア侵略軍がウクライナ全土から撤兵し、秩序が恢復することを強く願っております。
(願っているだけでなく、今月も具体的な行動として、モルドバ大使館にわずかばかりですが義援金を寄付してきました)
(
2022.4.17
)
日本史史料研究会
監修
赤坂恒明
著
『
「王」と呼ばれた皇族
古代・中世皇統の末流
』
東京、吉川弘文館、二〇二〇年一月
(発売:二〇一九年十二月二十日)
ISBN 978-4-642-08369-0
http://www.yoshikawa-k.co.jp/book/b487640.html
●
細々と発売中の本書にも、「個人用電子書籍」が、
2021
年
11
月より、紀伊國屋書店の「
Kinoppy
」等で配信される、との由です。価格は紙の書籍と同額です。なお、電子版の発売にともない、紙の書籍の存在意義が相対的に低くなります。紙の書籍の購入を御検討の方は、拙著『ジュチ裔諸政権史の研究』の如く品切・絶版となって入手不可能となる前に、お早目に御購入いただければ、と存じます。
(
2021.10.21
)
●
拙
小文「
刀鍛冶の徒弟であった御落胤、伏見宮貞致親王
」所載の 渡邊大門 編『歴史が拓く未来』(
市川、歴史と文化の研究所、
2021.1
)は、発行されるや即日、品切れとなり、その後、ごく少部数が増刷されましたが、同じく品切れとなりました。本書を所蔵する図書館・研究機関は、私の把握する限り、国立国会図書館と八王子市図書館のみです。そこで、すでに稀覯書と化しております本書の
5
〜
17
頁に所載の
拙
小文を、編者 渡邊大門先生から御認可いただきまして、
ネット上に公開
いたしました(ただし、「おわりに」の大部分は公開を差控えております)。学術論文ではなく、小著『
「王」と呼ばれた皇族
古代・中世皇統の末流
』で割愛した文章を増補修訂した、一般読者向けの文章です。御一読いただければ幸いです。
(
2021.4.28
)
赤坂恒明のページ
へ
過去に掲げた探訪記・写真等
へ
● 以前に使用していた電子メール・アドレス「akasaka@aoni.waseda.jp」は既に廃止されております。
● かつて私が或る公開講座にて語った内容が、甚だ不正確に解釈された形で、私の発言として或るブログに書かれております。しかし、そのようなことは全く述べておりません。まことに困ったことです。
● 本ページのアドレスは、二〇〇四年九月末、
http://www.geocities.co.jp/CollegeLife/3312/index.html
から
http://www.geocities.jp/akasakatsuneaki/index.html
に変更され、更に二〇一九年二月十三日、
http://akasakatsuneaki.c.ooco.jp/index.html
に変更されました。
・
ウクライナ共和国民族・母語人口統計一覧表(
2001
年)
・
ウクライナ共和国クリミア自治共和国民族・母語人口統計一覧表(
2001
年)
・
ウクライナ共和国ドネツィク(ドネツク)州民族・母語人口統計一覧表(
2001
年)
・
ウクライナ共和国ヘルソン州民族・母語人口統計一覧表(
2001
年)
・
ウクライナ共和国オデサ(オデッサ)州民族・母語人口統計一覧表(
2001
年)
注意:
クリミア自治共和国の民族・母語人口統計
を見てみますと、例えばイジョル人の項から推測できますように、統計には誤りが含まれているようです。その誤りは
ウクライナ共和国全体の民族・母語人口統計
にも及んでいると思われます。この統計を使用する際には注意が必要です。
過去の記事より
(再公開作業中)
●
マリウポリのクインジ記念美術館の破壊
●
戦禍のマリウポリとクリミア・ギリシア人
●
「広きドニエプル川は咆哮し、うなりをあげ」
Реве та стогне Дніпр широкий
ウクライナ民族の象徴的歌曲
●
「広きドニエプル川は咆哮し、うなりをあげ」(「広きドニエプルの嵐」)のウクライナ語カタカナ歌詞
PDF
哀悼 ヒシクトクトホ
č.kesigtoγtaqu
(賀希格陶克陶)先生
2021
年:現代ウイグル民族命名百周年(
2021
年
12
月
20
日記)
今はなき清水公園の「乗り物公園」(
2021
年
9
月
20
日記
)
遠州堀江城主大澤左衛門佐基胤夫妻の墓(池袋の瑞鳳山祥雲寺)(
2021
年
6
月
20
日記
)
最初の在日ウイグル民族(
2021
年
5
月
24
日,
6
月
1
日記
)
学術関連情報
音源付きミシャル・タタール民謡集
L.X.
ジガンシナ、
L.I.
サルヴァロワ編『ラムベラのタタール=ミシャル人の民謡』(《タタール民族音楽=詩作品》第五巻)(
2021
年
5
月
7
日記
)
木寺宮研究の進展(
2021
年
4
月
17
日記
)
善良両氏 (
2021
年
2
月
1
日記
)
2020
年
12
月
21
日の「天声人語」における『スーホの白い馬』によせて (
2020
年
12
月
22
日記
)
或る日本人モンゴル帝国史研究者から、或る中国人(漢族)若手同業者への便り (
2020
年
9
月
9
日 日本語による電子メールからの抄録
)
カザン刊民俗音楽音源付書籍三点と、ペルム地方の「黄金基産(フォンド)」
CD
六点 ──ヴォルガ・ウラル地域諸民族の民俗音楽音源資料より── ウドムルト、コミ=ペルミャク、マリー、タタール、バシコルト(バシキール)等 (
2019
年
12
月
13
日)
地名サランスクを知らざる金帳汗国史研究者は“もぐり”也と云わざるべからず (
2018
年
6
月
29
日)
研究情報 : 十八〜十九世紀の北カフカスの歴史におけるチンギス・ハンの後裔たち (
2018
年
3
月
12
日)
東カレリア北部のカレリア・フィン民謡の音源資料(
2016.11.27.
記)
価格百分之一 トルクメンとモンゴルの豪華写真集(
2015
年
10
月
13
日)
研究情報 : 近刊のランプール本『集史』「モンゴル史」写真版刊本(
2015
年
10
月
8
日)
訃報 タラスベク・アセムクロフ
Talasbek Asemkulov
氏(2014年11月4日記)
拙稿中の一章「ウテミシュ=ハージーの『チンギス=ナーマ』の史料性,再論」(2013.6.29)
タタール民族の国民的芸術家ウルマンチェ生誕115年記念展図録(2013.6.8)
研究情報 : 十五〜十七世紀のロシアにおけるチンギス家一門
(2012.4.27)
アルメニアで刊行された、アイヴァゾフスキーに関する美術研究書
(2012.4.12)
三たびクインジ
(2012.2.7)
油地獄
イサーク・レヴィタン生誕百五十周年
(2011.09.04)
ロシア美術館のアルヒプ・クインジ
(2011.07.18)
A.I.クインジ歿後百周年によせて
(2010.11.22)
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